肝疾患について

肝疾患について

肝臓は、基礎代謝の約25%を担い、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン代謝の中心です。また、アルコールの約90%を処理し、他の毒物の解毒なども行っています。
ここでは、肝臓の病気について主なものを解説していきます。

急性肝炎
B型肝炎
C型肝炎
肝硬変
肝細胞癌

 

主な肝臓の病気

急性肝炎

 急性肝炎とは、主に肝炎ウイルスの感染が原因でおきる急性の肝機能障害を呈する病気です。症状としては、黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐、全身倦怠感、発熱などがあります。肝炎ウイルスとしては、A,B,C,D,E型の5種類が確認されており、感染経路はA,E型は経口感染、B,C,D,型は血液、体液を介して感染する事が知られております。急性肝炎は一般的には経過が良好な疾患ですが、約1-2%の患者は劇症化し、一度劇症化すると死に至る可能性があり、肝臓移植が必要となる事もあります。

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[ps2id id=’HBV’ target=”/]B型肝炎

 B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって起きる肝臓の病気です。HBVは感染した時期、感染したときの健康状態、ウイルスの種類によって、一過性の感染に終わるもの(急性肝炎)とほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)とに大別されます。
持続感染している方ではHBVが完全に排除される事は非常に少ないとされています。しかし、経過中に一過性に強い肝炎を起こした後で肝炎が沈静化し、そのまま生涯強い肝炎を発症しない方が大多数(約80-90%)とされています。一方、残りの10-20%の人は慢性肝炎へと移行し、その中から肝硬変、肝臓癌になる人も出てきます。有効な抗ウイルス療法としては、大別してIFN(注射薬)と核酸アナログ製剤(内服薬)の2種類がありますが、肝臓の状態(慢性肝炎か、肝硬変か)や検査結果によって推奨される治療は異なり、日本肝臓学会から治療のガイドラインが公開されています。
なお、HBVの感染経路としては、輸血や血液製剤の投与、適切な消毒をしない器具を使っての医療行為、刺青、ピアスの穴あけ、麻薬や覚せい剤などの回し打ち、感染者との性行為、剃刀や歯ブラシの共用などがあります。また、昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)を受けた方は、注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した可能性があります (B型肝炎訴訟について: 厚生労働省HPよりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/b-kanen/index.html)。心当たりのある方は一度HBVの検査を受けて下さい。

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[ps2id id=’HCV’ target=”/]C型肝炎

 C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起きる肝臓の病気です。HCVに感染すると約6080%の方が持続感染者となり、約20年の経過で約3040%の患者さんが肝硬変に進行し、さらに肝硬変の患者さんにおいて年率約7%の頻度で肝臓がんが発生すると言われています。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、予備能力が高いため自覚症状がないまま病気が進むことがあります。HCVの感染がわかった時は、症状がなくても医療機関を受診し検査や治療を検討する必要があります。
 なお、HCVの感染経路としては、輸血や血液製剤の投与、適切な消毒をしない器具を使っての医療行為、刺青、ピアスの穴あけ、麻薬、覚せい剤の回し打ち、感染者との剃刀や歯ブラシの共用などがあります。心当たりのある方は一度HCVの検査を受けて下さい。

◆C型慢性肝炎と代償性肝硬変の治療◆
 C型慢性肝炎の治療は、C型肝炎ウイルス(HCV)をからだから排除する治療法(抗ウイルス療法)と、対症療法としての肝庇護療法があります。抗ウイルス療法としては、ながらくインターフェロン(IFN)という注射薬が使用されてきましたが、近年は飲み薬だけで直接ウイルスをたたく事が出来る、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によるインターフェロンフリー治療と呼ばれる飲み薬での治療が主流となりました。
 現在主流の治療であるDAAによるインターフェロンフリー治療は、8-24週間にわたりお薬を内服する治療になります。インターフェロンフリー治療はIFN治療に比べて副作用も軽く、高齢者にも体に優しく、また就労しながらの治療もしやすくなっています。かつては難治性とされた1型のウイルスもそれ以外も、95%以上の確率でC型肝炎ウイルスの消失(治癒)が期待できます。また、インターフェロンフリー治療でウイルスを排除できなかった方も、薬剤を変更しての再治療でウイルスを排除できる可能性があります。肝機能、腎機能、心疾患の有無、他疾患で内服している飲み薬により、治療薬がかわってきますので、是非とも、一度は肝臓専門医にご相談ください。
 HCVを排除できない方、抗ウイルス治療を行えない方には、肝庇護療法としてウルソデオキシコール酸(内服)やグルチルリチン配合剤(注射)により、肝機能を正常に保ち肝炎の進展を防止する方法があります。

◆C型非代償性肝硬変の治療◆
これらの抗ウイルス治療は今まで慢性肝炎~代償性肝硬変(肝機能が保たれた肝硬変)の方が対象でした。しかしながら近年になり、非代償性肝硬変(肝機能が低下した肝硬変)に対しても抗ウイルス治療が行えるようになっています。非代償性肝硬変でもウイルスを排除することにより、肝臓の予備能力が回復することが期待できます。非代償性肝硬変の方はもともとからだが弱った状態で、様々な症状が出現していることも多いです。これらの治療を行う場合は治療中も慎重な経過観察が必要となります。専門医とご相談ください。

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[ps2id id=’Cirrhosis’ target=”/]肝硬変

 B型やC型肝炎ウイルスによる肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などにより、肝臓の障害が長期間続くと、肝臓が修復される際に線維が増生して肝臓が硬くなり、正常な機能を果たせなくなります。これが肝硬変であり、あらゆる肝障害が悪化した果てにたどりつく状態と言えます。
 肝硬変になると、血管の圧が上がることによって起こる腹水や食道・胃静脈瘤と、肝臓機能が低下するために起こる肝性脳症や黄疸、そして肝癌の合併が問題となります。

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[ps2id id=’HCC’ target=”/]肝細胞癌

わが国では肝細胞癌の原因の約4分の3B型・C型肝炎ウイルス感染が占めています。このほか、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎が肝細胞癌の原因となります。
 肝細胞癌に特異的な腫瘍マーカーとしてAFP(アルファフェトプロテイン)やPIVKA‐Ⅱなどがあります。血液検査で定期的に測定することが重要です。また、肝細胞癌の早期発見には腹部超音波や肝ダイナミックCT、造影MRIなどによる定期的な画像検査も不可欠とされています。 肝細胞癌の多くは肝硬変に合併するため、治療方針は癌の進行度と肝硬変の程度の二つを考慮して慎重に決定する必要があります。日本肝臓学会では科学的根拠に基づく肝癌治療ガイドラインが作成しています。
 なお、B型・C型肝炎ウイルス感染者に発生した肝細胞癌は、癌がいったん根治できても、肝臓の他の部位に再発する率が年間20%に達します。再発を抑える治療としていくつかの試みがなされてきましたが、いまだ確立された方法はないのが現状です。

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